デンデラ野 岩手県の遠野郷にデンデラ野という野原があります。大昔、年をとって働けなくなった人達がそこで
集団生活をして死期を待ったそうです。といっても姨捨て山のようなものではなく、年寄達は自らすすんで野原に向かっていったようです。
現代を生き、しかも元気に働ける私にはそういった年寄達の気持ちを図り知ることはできません。
しかし、「老い」について考える機会は 日常生活の中にたくさんあります。
私達は現在老人といわれる人達が戦後必死に造ってきた世界でも稀に見る平和な国に生きています。
彼らのバトンを我々はどう受けとるのか。自分達はどう年をとっていくのか。そういった自らへの問いとして構成演出しました。
1999年5月 【別れの原理〜イヨネスコ『椅子』〜】当日パンフより
タツ 今回の公演は片岡健二とA.C.O.A.のコラボレーションという形でご御覧いただきます。
今日では絵画とまったく一線を画した芸術表現である感じがしますが歴史を振り返ると両者は密接な関係あったと思われます。
歌舞伎役者は色とりどりの衣装と化粧で身を包み舞台を色彩で埋め、見得といわれる方法で舞台上の時間を絵画のように切り取ります。
絵画は役者をさらにデフォルメし錦絵という形で世に送り出しました。能舞台には必ず大きな松が背景として描かれていますし、
紙芝居などは絵として切り取られた時間の間を語りで埋めていくものです。
さて我々の生きる現代では2次元と3次元の間にどんな
接点が発見出来るでしょうか?現代でも絵画と舞台表現が生の時間を共有できることが出来るでしょうか?そこから自然に生れてくる
ドラマや叙情性を皆さんに感じていただけたら幸いです。
1999年10月 『タツ』当日パンフより
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